さて、待ち合わせ場所に現れたSくん。
正直な感想は「あ~!平面であの感じだと立体になるとこうなるのか~!!」という…。
まったく伝わらないとは思うのだが、平面で想像していた目鼻立ちの凹凸よりも高低差がない顔。
髪の毛の立体感のなさと、肩幅と顔の大きさのバランス(S君はやせ形の人で、決して顔が一般男性より大きいとかではないのだが、肩幅が狭すぎて顔が大きく見えるタイプだった)
これは、アレに似ている
アニメキャラの、プライズフィギュア化
1体1万超えのフィギュアであれば、キチンと顔と体、目鼻口の配置、衣裳の細部に至るまで計算されている。
「そうそう!アレが立体になるってこういうことだよ~!」と満足いくものが出来上がるのだが、プライズや一番クジはどうしても安く作られているので粗が出る。
「そうなんだけど…まぁ…そうなんだけどなっ…!!!」みたいな惜しさだ。
しかし、写真がモノを言うティンダー。
この程度の誤差はむしろ良心的なのではないだろうか。
全くの別人が来るパターンもあるらしいし。
誤差誤差。
なんなら私だって結構詐欺ってるしな。
3割減はお互い様よ。
そんなことを思って、喫茶店へ向かう。
どうしても見てしまう。
私はフィギュアの類が大好きなのだ。
「ちょっと違うなって思ってる?」
と問いかけるSくん。
いいえ、純粋に興味深いのです。
あの写真からこの程度の誤差が出るということは、あの部分はこうなっていてこのくらいで計算していけば、他の人の写真も何となく想像がつくのではないだろうかと
S君の良い感じの立体化ぶりで研究していたのだ。
初めてのネットの出会いで感じたのは、やはり人との関わりはノンバーバルコミュニケーションがものを言うことだった。
散々そう感じる機会はあったが、ガチで文字でしか関わったことがない人と会うのはこれが初めてだった為、本当に言葉以外の動作が持つ力を感じた。
声の質や発生の仕方
語尾の感じ
目の動かし方、手の所作
口の動き
通路の選び方、メニューの選び方、店員さんへの態度、歩く速度
様々な要素で『この人はどんな人だろう』と自分が探っているのが分かる。
話題の運び方や彼の生き方、考え方なども、もちろん人として合うか合わないか?の判断基準にはなってくるのだが
人が人の好き嫌いを判定するのは、もっとそれ以前の問題なのかも知れない。
となると、やっぱり万人受けするモテテクとか、受け答えの正誤などは大きな意味を持たないのかも知れないな~と考えたS君との出会いだった。
もちろん、S君とはその日なんとか1時間半の面談を終え、お互いに辟易して別れた笑
私もまた、どこかで彼の期待を裏切ったのだろうと思うが、それに関してはお互い様なので、一つの出会いとしておこう。