「どうせこの人は私のものにはならない」
「どうせこの時が過ぎれば彼女の元に帰っていく」
「どうせ期間限定の関係だ」
などなど
彼といると「どうせ」「どうせ」ばかりだった。
自己肯定感がすり減って、でも好きは募り、でも一緒にいる時間が長くなるにつれ、会う回数が増えるにつれて
「どうせ人の男なのに」が色濃くなっていく。
「どうせ」から「何で?」に変化していく。
「何で私がこんな思いをしなくちゃならない?」
「何で彼は私を手元に置いておく?」
その答えは彼しか持っていないのだが、予想できるものは全て絶望的な回答しかなく、その時点でもう続けることは無理だったのだ。
私の心が折れたらこの関係はお終いだった。
私が好きだから続いていた。
彼が私と一緒にいる理由なんて、都合の良さがなくなれば一つもない。
久しぶりに恋愛っぽいことをしている
それだけの価値だ。
彼には時間をかけて彼女と築いてきた家庭がある。
私は彼との家庭が欲しかった。
彼は法的な意味での家庭は望まない。
でも、実質の家庭は持っている。
それが羨ましくて羨ましくて仕方がなかった。
私は彼と家庭を築きたかった。
それは手に入らない。
彼女と同じものを提供していては、彼の時間も手に入らない。
ならば…と浮気相手に甘んじていたが、どう頑張ったって、私の手元には何も残らないじゃないか。
彼と純粋に楽しい時間を過ごせない。
「彼との家庭が欲しい」という下心がある段階で、上手くなんていきっこなかったのだ。
下心がある時点で、私は彼でなく私の目的を見ていた。
そんなの、楽しいわけがない。
「どうせ」を発したら、その先はない。
じゃあどうすれば終わらせずにいられるの?
なんて、前向きな未来を考える余裕もない。
終わらせたいのだ。
もう疲れてしまったのだ。
終わりは見えている。
彼は他の女の元へ帰っていく。
どうせ
みんな
そう
と、私は今、自分にどうせを投げ続けている。